「行ってきます」
慌てて玄関でローファーを履いてドアを開ける。
そとは今日も良い天気で、少し眩しい太陽に目を細めた。
腕時計を見るとまだ時間には余裕があって。
そんなに慌てる必要もないなとスピードを緩める。
最寄のバス停は、徒歩で数分。
すぐ近くにある。
そこから学校まではバスで10分。
今までは歩いて行っていた。
けど
今はバスで通っている。
一度だけ遅刻しそうでバスに乗った事があった。
急カーブが多い道を行くバスはとても左右に揺れる。
乗り慣れていない私は大きくバランスを崩してしまった。
「大丈夫?」
倒れないように腕を引いてくれた制服は、隣の学校のものだった。
あれから、私は徒歩通学からバス通学へと変えた。
「あ…来た…」
小さく呟いた言葉は吐息と共にすぐに消える。
今日こそは声をかけよう。
あの時のお礼を、きちんと伝えよう。
ドキドキと、いつも以上に上がっていく心拍数。
無理矢理深呼吸をして、無理矢理心を落ち着かせる。
大丈夫。
大丈夫だ、きっと。
おはよう。
それから、あの時は…どうもありがとう。
顔を見て。
笑顔で、そう伝えよう。
バスのステップを登り、彼の姿を探した。
「…がんばれ」
うん、と頷き足を動かした。
このお話は15:セーラー服とのリンク小説です。
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