はぁはぁはぁ!!!!
間に合うか…いや、間に合わせる…!!!

俺は今日、布団の心地よさに負けて二度寝してしまった事を
今ものすごく後悔している。
今までこんなに慌てた事がないくらい、全速力で目指すのは歩いて15分くらいのバス停。

「げ!!!」
俺を追い抜いてバス停に向かうバスに遭遇した。
ヤバイ!!急がないと!!!
どうしても…どうしてもあのバスに乗らないと…。

「の、乗りまーす!!!!!!!!!」

今までに張り上げた事のないほどの大きな声でバス停に止まるバスの背中に叫ぶ。
当然、バスの運転手になど聞こえるはずもないんだけど。
でも、どうにかしてあのバスを停めたかった。


「発車しまーす」
「あ、ちょっと待ってください。もうすぐ1人追いつきますから」



「と…停まってる……はぁはぁ」
大きく息を弾ませ徐々に近くなるバスが、何故まだそこにいるのか理解できないまま
俺は走るスピードを緩めた。
もう走らなくても、バスは目の前だったから。

「す…すいません……」
「いいんですよ。捕まってくださいね、危ないですから」
マイクを通した運転手の声が今だけ、とても柔らかく優しいものに聞こえた。
俺はキョロキョロと辺りを見回すと、左側の棒に捕まった。
大きく弾んでしまった息を数回の深呼吸で何とか整える。

俺は、毎日このバスに乗っている。
このバスでないといけない理由がある。


「次は、常永町〜常永町です」

マイクから聞こえた次の停留所に、俺はもう一度だけ大きく息を吸って、そして吐いた。
徐々に大きく見える停留所に、今日もあのこの姿を探す。


「………」

ドアが開き、数人の乗客が乗り込む。
その中にあの子がいる。

セーラー服。

隣の高校の制服だ。
彼女に会うために、俺は遅刻魔のあだ名を返上した。

この、ココからの15分がまだまだ続けば良いのにな。

「おはよう」

今日こそは、言おう。

君に言おう。



このお話は16:学ランとのリンク小説です。


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