「今日から学校中が騒がしくなりますが、先生方よろしくお願いします」

職員室でも朝の朝礼が済まされ、教頭から毎年の挨拶が行われた。
「いやーもう慣れましたよ」
「さ、今年はどうなりますかな」
そう笑いながらクラスを受け持つ教師がゾロゾロと職員室をあとにする。
その手には各々山盛りのプリントが持たれていた。



2−D/文系クラス
「今配ったプリントにすぐ記入しろよー。生徒会に出すからな」

1時限目 全学年自習

そう黒板に書きながら、2D担任の東野は背中を向けたまま大声で叫んだ。
「寮名…すみれっと…。希望競技……んーなぁ創始創始」
久遠がプリントを持ったまま後ろを振り返り創始の机の上に置いた。
「希望競技どうするーってか、この担当班がやっかいだ…」
う〜んう〜ん…。と首を右へ左へと曲げる久遠を見て創始が「あー」と声を漏らす。
「お前家庭科の成績悪いから、衣装には行くなよ」
「あ!今年チーム衣装どうすんだろ…」


2−E/理系科クラス
「希望競技は取り合えずでいーぞ。後でチームごとに話し合って変えてもかまわん」

「関谷―お前どうすんの?」
「んー…んー」
プリントを見ながら唸りをあげる柚木に数人の友人が群がる。
「どれもやだなぁ。面倒だ」
柚木の言葉に、隣にいた友人が伏せていた顔を上げた。
「じゃぁ、応援団部希望すれば?」
簡単に呟かれた友人の一言に、柚木は片眉を器用に上げる。
「希望してなれるもんじゃねーだろ?」
「まぁ、希望しても結局は選ぶの寮長たちだからな」


2−F/理系科クラス
「あと30分で書けよ!集めたら委員長、すぐ生徒会室に運んでくれ」
「あ、はい。みんなー急いで書いてー」

「ひじりん!!!俺、設備か小道具!」
「ダメですよ」
自分の希望をアッサリ拒否され、新平はぶーっと頬を膨らませた。
それを見る事もせず、聖はプリントになにやら書き込んで行く。
「僕と新平は報道班ですから」
それを聞いた近くにいた友人が驚いた様子で振り返った。
「何?!お前らのとこスカウト行ったの?!!!」
「えぇ。先週報道班長から呼び出しをくらいまして。
1人じゃ面倒なので、新平付きでOKしました」
ニッコリと笑う聖を見てその場にいた全員が言葉を失った。

新平に決定権は…?