8月某日。
夏期休暇が明けて最初の登校日。
1Fホールの掲示板の前は朝から黒山の人だかりが出来上がっていた。

「おはー!何何?!」
5人仲良く登校した創始・柚木・久遠・新平・聖はその人だかりを見るや
目を見合わせた。
久遠と新平が真っ先にそれに近づく。
「よぉ。いや、ホラ夏休みが明けたらあれだよアレ」
友人がニヤニヤ笑いながら掲示板を指すものだから
2人は目を丸くしてニーっと笑い合った。

「来た来た来たー!!!!!」
「待ってました!!!」

そんな嬉しそうな二人を見て、後ろにいた3人が「あー」と口をそろえる。

「開成祭か」
「いいねぇ。じゃぁ全部午前授業か」
「去年はさくら荘にやられましたからね。今年こそは優勝です」


季節は夏終盤。
この時期から開成はお祭り一色になる。

10月・・・開成祭

俗に言う「体育祭」だ。
8月後半から10月の本番までほぼ一ヶ月。
開成はすべて午前授業になり、午後と放課後の全ては
練習や、衣装や設備の用意に回されるのだ。

そして、寮別で争われる開成祭は2日間に渡り
ものすごい盛り上がりを見せる。

「よっしゃよっしゃ!じゃぁ今日からクラスも3分割だな」
ウシシシと笑う久遠と新平を先頭に、5人は一足早くひとごみを抜け
階段を上っていく。

クラスでもこの時期になると自然と寮別で席が固まる現象が現れる。
こうなると、日にちが進めば進むほどライバル心がむき出しになっていくのだ。


教室までに行く途中、数名の友人が5人を追い抜いて行った。

「絶対負けねーからな!!!」
「すみれ荘には、負けねー!」